ウィキペディアの「
ヴァン・ダインの二十則 」の項目が
ちょびっとややこしいことになっているみたいなので、
どっかに引用元として適切なモノはないかと探していたところ、
SOGO_e-text_library のsogoさんが原文(著作権保護期間終了)から翻訳した「探偵小説を書くときの二十則」があるのを発見する。
しかも「商業利用しないかぎり複製・再配布が自由」とのことだったので、
資料室 にこっそりアップする。
探偵小説を書くときの二十則 作家名:S・S・ヴァン=ダイン
翻訳者:SOGO_e-text_library
S・S・ヴァン=ダイン(S. S. Van Dine)、本名・ウィラード・ハンティントン・ライト(Willard Huntington Wright)は、20世紀初頭アメリカの美術評論家・推理小説作家。(1888年10月15日 - 1939年4月11日)
探偵小説家としての代表作は
僧正殺人事件 、
グリーン家殺人事件 といった、素人名探偵ファイロ・ヴァンスが活躍するシリーズなど。
本稿は、彼が自らの創作のための決意もかねて、アンソロジー『世界短編傑作集』序文に「推理小説を書く上での鉄則」として記したもの。日本では「ヴァン・ダインの二十則」とも呼ばれている。
以下、「そうとう私見の交じった『あらすじ』」
すべての手がかりを読者の目の前にさらせ。 犯罪用トリック以外に、読者に対する「ごまかし」をするな。 恋愛を絡ませるな。 探偵自身やその仲間を犯人に変貌させるな。 実は「事故」でした、とか、「自殺」でした、なんて尻すぼみなインチキは読者が許さない。 探偵を登場させ、彼にしっかり調査をさせること。自分で得た手がかりで解決できないようでは、問題集 《 ドリル 》 の巻末 《 こたえ 》 を書き写す駄目な小学生と変わらない。 探偵小説には死体が必要。軽い犯罪では読者が300ページ読む努力が報われない。 オカルトチックな方法で解決を導いてはならない。 事件を解決する人物は一人だけにすること。集団探偵は一人の読者をリレーチームと競争させるようなもので、ずるい。 犯人は物語上重要な役目を負っていて、読者がよく知っている人物でなければならない。 犯人は普通なら嫌疑がかけられないような人物でなければならない。端役の下っ端が犯人じゃつまらん。 犯人は一人とせよ。共犯者がいたとしても、犯罪の全責任は一人の人物に負わせよ。 犯人が「謎の組織」や「マフィア」の一員だったり、その傘の下に逃げ込むようなマネをしてはならない。 殺人の手段・解決の方法を「似非科学」や「想像の産物」に求めるな。そいつは冒険ファンタジー小説の領分だ。 読者が作中のヒントだけで「アレに気付けば俺でも解決できたのか!」ってなカタルシスを得られるようにしておくこと。 長ったらしくて文学的すぎる説明・描写、過剰な雰囲気作りをするな。説明と描写は適切な範囲に収めよ。 「職業的犯罪者 《 プロフェッショナル 》 」を犯人にするな。常習窃盗犯の捕縛は警察の業務であり、素人探偵 《 アマチュア 》 の仕事ではない。 事故や自殺で話をまとめるな。 犯罪の動機は個人的なモノであるべき。国際的陰謀や国家戦略はスパイ小説の領分。 以下のような使い古されたネタを使うようじゃ、無能で独創性がないってことを公言しているのと同じことだ。現場の吸い殻と容疑者の煙草の銘柄の比較 嘘の降霊術で犯人をビビらせる 指紋の偽装 替え玉による不在証明 《 アリバイ 》 「あのとき犬は吠えなかった」 無実の容疑者の双子やそっくりないとこが真犯人 謎の注射や即効性の毒薬 警官が部屋に踏み込んだ後で、密室状態に偽装工作 連想ゲーム的な犯人の指摘 唐突に探偵が「暗号」を解読してしまう ここに上げた『鉄則』や、ノックス師による「十戒」といったセオリーは、必ずしも守らなければならないと言うモノではない。守られていない作品や、これを逆手に取り、あえて破ることによって成功した名作も多々あることもまた事実。